小規模保育園で後悔！働きにくいデメリットとは

小規模保育園の保育士

保育士として働く場所を選ぶ際、小規模保育園はアットホームな魅力で人気を集めています。

しかし、実際の現場で「働きにくい」と感じ、後悔する声も少なくありません。職員数の少なさや業務の偏りから生じる負担が主な原因です。

この記事では、小規模保育園のデメリットを具体的に掘り下げ、転職を検討する保育士さんの参考になるよう解説します。あなたが後悔しない園選びのヒントもお届けします。

小規模保育園とは？基本を押さえておこう
小規模保育園のデメリット1: 人員不足による業務負担の増大
小規模保育園のデメリット2: 人間関係の密接さがもたらすプレッシャー
小規模保育園のデメリット3: 保育経験の偏りとキャリアアップの難しさ
小規模保育園のデメリット4: 行事の少なさとマンネリ化のリスク
後悔しないための園選びと対策ポイント
まとめ：自分に合った園で輝く保育士に

小規模保育園とは？基本を押さえておこう

小規模保育園は、認可保育園の待機児童解消策として導入された施設で、定員19人以下（主に0～2歳児対象）の保育園を指します。

A型（認可保育園内設置）、B型（企業主導型）、C型（自治体認可）などの形態があり、柔軟な運営が特徴です。

保育士にとっては、子ども一人ひとりに寄り添える環境が魅力ですが、規模の小ささがもたらす課題も無視できません。

厚生労働省のデータによると、2023年時点で全国に約1万園以上存在し、保育士の就職先として選択肢の一つとなっています。

このような園で働く保育士は、通常3～5名程度の少人数体制で業務を回します。朝の受け入れからお迎え、保育計画の立案まで、多岐にわたる役割を担います。

まずはメリットを簡単に振り返りつつ、デメリットの背景を理解しましょう。

メリットとして挙げられるのは、子どもの様子を細かく観察できる点や、保護者とのコミュニケーションが密になることです。

しかし、これらが逆に負担となるケースも少なくなく、特に新任保育士や子育て経験の浅い方は戸惑うことがあります。

小規模保育園の運営は、自治体の補助金に依存する部分が大きく、園の形態によって給与や福利厚生に差が出やすいです。

例えば、B型は企業主導のため柔軟な勤務形態が導入されやすい一方、C型は地域密着型で地域差が顕著です。

こうした特性を知った上で、デメリットを深掘りしていくと、後悔を防ぐヒントが見えてきます。

小規模保育園のデメリット1: 人員不足による業務負担の増大

小規模保育園の最大の課題は、職員数の少なさです。定員19人に対して保育士は最低3名以上必要ですが、実際の現場では常時2～4名で回すことが多く、一人ひとりの負担が大きくなります。

これが「働きにくい」と感じる主な理由の一つです。以下で具体的に見ていきましょう。

急な休みが取りにくい環境

人員が少ないため、病欠や私用による急な休みが取りにくく、代わりの保育士を確保できないケースが頻発します。

例えば、風邪で休むと他の職員に負担がかかり、結果として有給消化率が低下する傾向があります。

ある調査では、小規模園の保育士の約30%が「休暇取得のしにくさ」を不満点として挙げています。子育て中の保育士にとって、これは大きなストレス要因となります。

この問題は、園のシフト体制が柔軟でない場合に特に深刻化します。早番・遅番のローテーションが固定化されやすく、急な変更に対応しにくいのです。

結果として、ワークライフバランスが崩れ、長期的に見て離職につながるケースも報告されています。

転職を考えている方は、事前の面接で「休暇取得の実績」を確認することをおすすめします。

残業や持ち帰り仕事の増加

人員不足は残業の原因にもなります。保育終了後の片付けや書類作成が集中し、1日1～2時間の残業が常態化する園も少なくありません。

特に、0～2歳児の排泄介助や食事指導が細かく、予定外のトラブル（例: 発熱児の対応）で時間が延びやすいです。

持ち帰り仕事もデメリットの一つ。保育計画の作成や保護者連絡帳の記入を自宅でこなすことがあり、プライベートの時間が削られます。大規模園のように分担が効かないため、一人で抱え込む負担が蓄積します。

厚生労働省のガイドラインでは残業時間の上限が定められていますが、小規模園では遵守が甘い事例も見られます。

こうした状況を放置すると、身体的・精神的な疲労が蓄積し、後悔の種となります。

小規模保育園のデメリット2: 人間関係の密接さがもたらすプレッシャー

小規模園のもう一つの特徴は、職員間の距離が近いことです。少人数ゆえにコミュニケーションは活発ですが、それが逆効果になる場合もあります。

合わない同僚との距離が近いストレス

大規模園では部署やクラス分けで距離を取れますが、小規模園では毎日顔を合わせるため、人間関係のトラブルが全体に波及しやすいです。

例えば、意見の相違が業務に直結し、雰囲気が悪化すると園全体のモチベーションが低下します。

ある保育士の体験談では、「園長との価値観の違いで毎日気を使うのがつらかった」との声が寄せられています。

このプレッシャーは、新人保育士にとって特に厳しく、指導体制の薄さも相まって孤立感を強めます。離職理由のトップに人間関係が挙がるのも、このためです。

対策として、園見学時に職員の会話の様子を観察するといいでしょう。

園長依存の強い運営体制

小規模園は園長の裁量が大きく、運営方針が一人の考えに左右されやすいです。

園長のスタイルが厳格だと、業務の柔軟性が失われ、働きにくさが増します。

例えば、保育方針の変更が急で、事前共有が不十分な場合、現場の混乱を招きます。これが長期的に見て、後悔を生む要因となります。

小規模保育園のデメリット3: 保育経験の偏りとキャリアアップの難しさ

小規模保育園は主に0～2歳児を対象とするため、保育経験が乳幼児期に偏りやすく、幅広いスキル習得が難しい点が大きなデメリットです。

この偏りは、将来的なキャリア形成に影響を及ぼし、多くの保育士が転職を検討するきっかけとなります。

以下でその具体的な課題を詳しく見ていきましょう。

3歳以上児の保育スキルが身につきにくい

小規模園では、定員の制約から3歳以上の子どもを受け入れない園が多く、異年齢交流や集団活動の経験が蓄積しにくいのが実情です。

例えば、大規模園で実施されるようなグループ遊びやルールベースの活動を通じて養われる社会的スキル指導の機会が少なく、担任としての多様な対応力が育ちにくいのです。

これにより、将来的に大規模園への転職を考える際に、「年長児の指導経験が浅い」と評価され、不利になるケースが報告されています。

また、0～2歳児の専門性は強みですが、保育士全体のキャリアパスとして求められる「全年齢層対応力」が不足すると、自己効力感が低下しやすいです。

ある調査では、小規模園勤務者の約25%が「経験の偏り」を理由に転職を検討したと回答しており、外部研修の活用を余儀なくされる保育士も少なくありません。

こうした状況は、モチベーションの維持を難しくし、長期的には「この園で続けていけるか」との不安を募らせる要因となります。

対策として、並行して大規模園でのボランティアや短期研修を検討するのも一手です。

昇進や異動の機会が限定的

職員数が少ない小規模園では、主任や園長といった管理職ポストが限定的で、昇進のチャンスが大規模園に比べて格段に少ないのが現実です。

例えば、園全体で5名程度の体制では、役職が1～2枠しかなく、経験年数が長くても待機状態が続くことがあります。

これにより、キャリアアップを目指す保育士にとって、停滞感が強まり、離職率の上昇につながっています。

さらに、園内の異動がほとんどないため、異なるクラスや業務を経験する機会が少なく、スキル多様化が図れません。

厚生労働省が推進する「保育士等キャリアアップ研修」制度を活用しても、園の規模が小さいと実務への反映がしにくく、給与アップの恩恵を受けにくい点も課題です。

実際、行政のデータでは、小規模園の平均勤続年数が大規模園より約2年短い傾向が見られ、この停滞が後悔の大きな原因となっています。

キャリアを重視する方は、事前の園選びで「昇進実績」や「研修支援体制」を確認することをおすすめします。

小規模保育園のデメリット4: 行事の少なさとマンネリ化のリスク

小規模園の行事は、定員の少なさから最小限に抑えられるのが一般的で、これが保育士のやりがいやモチベーションに悪影響を及ぼすデメリットとなります。

大規模園のような華やかなイベントが少ない分、日常業務のルーチン化が進みやすく、マンネリ化のリスクが高まります。以下でその詳細を解説します。

イベントの規模が小さく、達成感が薄い

小規模園では、運動会や発表会などのイベントが小規模または実施自体が少なく、保護者参加型の大きな行事も限定的です。

これにより、保育士が企画・運営から達成感を得る機会が減少し、「保育士らしい喜び」を感じにくくなる声が目立ちます。

例えば、園児10名程度の園では、親子イベントが簡易的なものに留まり、準備の労力に対してのフィードバックが薄く、モチベーションの低下を招きやすいのです。

ある保育士の体験談では、「行事の少なさが寂しく、子どもたちの成長を共有する機会が少ない」との指摘があり、保護者からの感謝の言葉も日常対応に集中するため、特別な達成感が得られにくいとされています。

また、行事の盛り上がりに欠けることで、園全体の雰囲気が停滞し、長期的に見て離職を促す要因となります。

こうした課題を軽減するためには、園独自の小さなイベントを積極的に企画する工夫が必要ですが、人員不足がそれを阻むケースも少なくありません。

遊びの多様性が不足しやすい

園庭や遊具の整備が不十分な小規模園が多く、室内中心の保育になりがちです。

これにより、子どもの身体的・社会的発達を促す多様な遊びの提供が難しく、保育士の創造性を試される一方で、ルーチン化のリスクが高まります。

例えば、年齢の異なる子どもの交流が少ないため、異年齢遊びを通じたリーダーシップ育成の機会が失われ、保育士自身も新しいアイデアを出す負担が増えます。

さらに、行事の少なさが日常の遊びのマンネリ化を助長し、子どもたちの刺激不足を懸念する保護者からの問い合わせが増えるケースもあります。

これが保育士のストレスとなり、現場の疲弊を深めます。対策として、近隣公園の活用や外部講師の導入を検討する園もありますが、予算の制約で実現しにくいのが現状です。

このような環境は、特に「子どもたちと一緒に成長したい」と考える保育士にとって、後悔の種となりやすいでしょう。

後悔しないための園選びと対策ポイント

小規模保育園のデメリットを理解した上で、選ぶなら後悔を最小限に抑えるための準備が不可欠です。

ここでは、園選びの具体的なポイントと、勤務開始後の対策を詳しく解説します。

事前のリサーチを徹底することで、自分に合った環境を見極め、長期的に働きやすい職場を築けます。以下に、ステップバイステップでまとめました。

園選びの基本ステップ：事前チェックリストを作成しよう

園選びの第一歩は、情報収集です。

求人サイトや自治体の公開資料を活用し、候補園を3～5園に絞りましょう。以下のようなチェックリストを活用してください。

園の形態と運営体制を確認する：
A型、B型、C型の違いを把握し、自分のライフスタイルに合うかを検討。
例えば、B型は企業主導で福利厚生が充実しやすいですが、C型は地域差が大きいため、地元の実情を調べてください。
厚生労働省の小規模保育園ガイドラインを参考に、補助金の有無や安定性をチェック。
給与・福利厚生の詳細を聞く：
小規模園は給与水準が大規模園より低い傾向があるため、基本給に加え、手当（住宅手当や子育て支援手当）の有無を確認。
面接時に「残業代の実績」や「有給消化率」を具体的に尋ね、数字で把握しましょう。ある調査では、福利厚生の充実度が離職率に直結すると指摘されています。
園見学を複数回実施し、現場を体感：
初回は朝の受け入れ時、2回目は午後の活動時、3回目はお迎え時とタイミングを変えて訪れ、業務フローを観察。職員のシフト表を見せてもらい、人員配置の安定性を確認してください。
また、子どもたちの様子や保護者対応の様子をメモし、「アットホームさ」が負担になっていないかを判断。
人間関係の空気を読む：
園見学中、職員同士の会話や園長の態度を観察。笑顔のコミュニケーションが多い園か、緊張感が漂っていないかをチェック。
新人向けのメンター制度の有無も重要で、指導体制が薄いと孤立しやすいため、事前に確認を。

これらのステップを踏むことで、ミスマッチを防げます。特に、自身の適性を考えることが鍵。乳幼児専門の細やかな保育が好きで、人間関係の密接さをポジティブに捉えられる方に向いています。

一方、キャリアアップや大規模イベントを重視するなら、大規模園を優先的に検討しましょう。

勤務開始後の対策：負担を軽減し、モチベーションを維持する

入園後も、後悔を防ぐための積極的な対策が重要です。以下に、実践的なポイントを挙げます。

園長との定期面談を習慣化：
入職後1ヶ月以内に、業務負担や人間関係の懸念を共有する面談を設定。残業の削減策や休暇取得のルールを明確にし、信頼関係を築きましょう。
こうしたコミュニケーションが、園長依存の運営体制をポジティブに変える鍵となります。
外部研修やネットワークを活用：
経験の偏りを補うため、自治体主催の「保育士キャリアアップ研修」や日本保育協会のセミナーを積極的に参加。
オンライン講座も有効で、3歳以上児のスキル習得に役立ちます。
また、保育士コミュニティ（SNSやオフ会）で小規模園の先輩からアドバイスを集め、孤立を防ぎましょう。
調査によると、研修参加者の満足度が20%向上する事例があります。
日常業務の工夫でマンネリ化を防ぐ：
行事の少なさをカバーするため、園内で小さなイベント（例: 季節の工作会や絵本読み聞かせ会）を提案。
予算が限られる場合は、近隣の公園を活用した散策活動を増やし、遊びの多様性を確保。子どもたちの反応を記録し、達成感を得る習慣を付けましょう。
転職エージェントの活用で柔軟なキャリアシフト：
小規模園で半年～1年経験を積んだ後、大規模園への転職を視野に。
専門エージェント（例: マイナビ保育士などの保育士専門の就職支援サービス）を利用すれば、求人マッチングや面接対策が受けられ、ミスマッチを防げます。
離職者の約40%が「事前相談の不足」を後悔しているデータからも、エージェントの重要性がわかります。