保育士の仕事は、子どもを見守るだけでなく、多岐にわたる業務をこなす責任ある役割です。
子どもたちの安全と成長を支え、保護者との信頼関係を築くために、保育士は緻密なスケジュール管理と柔軟な対応が求められます。
この記事では、保育士の典型的な1日の流れを具体的な時間割や年齢別・施設別の違い、最新の保育環境を交えて紹介します。
保育士が1日の流れを把握する重要性
保育士は決まった業務をこなしつつ、子どもたちの予測できない行動やトラブルに迅速に対応する必要があります。
一日の流れを身体に染み込ませておくことで、急な体調不良や保護者からの相談にも冷静に対処できます。
スケジュールを把握することは、子どもたちの安全と成長を支える基盤であり、保育士として一人前になるための第一歩です。
開園準備:鍵開けと教室チェック
時間例: 7:00~7:30(開園30分~1時間前)
早番の保育士が出勤し、園の鍵を開けます。保育室の清潔さ(ゴミ、整頓状況)、洗濯物の取り込み、トイレの衛生状態をチェック。冬は暖房や床暖房を入れ、子どもたちが快適に過ごせる環境を整えます。2025年では、登降園管理システム(ICカードやアプリ)を使用する園も増え、開園時にシステムの起動確認を行う場合もあります。
例: 保育室の窓を開けて換気し、コロナ後強化された衛生基準に基づき、遊具やドアノブを消毒。
受け入れと健康・チェック
時間例: 7:30~9:00
子どもたちが登園したら、保護者と挨拶を交わし、連絡事項(例: 朝食の有無、服薬指示)を確認。前日に怪我やトラブルがあった場合は、「昨日はご迷惑をおかけしました」と謝罪し、信頼関係を維持します。
- 乳児(0~2歳): 検温と目視で健康状態を確認。言葉でのコミュニケーションが難しいため、体調不良を見逃さないよう注意。
- 幼児(3~5歳): 怪我や体調の変化をチェックし、保護者に伝える(例: 「〇君、朝に膝に擦り傷がありました」)。
- 目的: 登園時の怪我と園内での怪我を区別し、保護者とのトラブルを防ぐ。
例: 保護者から「最近、子どもの食欲が少ない」と相談された場合、食事の様子を観察し、降園時に報告する計画を立てる。
朝のおやつ
時間例: 9:00~9:30(乳児クラス中心)
乳児クラスに朝のおやつを提供。保護者からの申し送り(例: 「朝食を食べられなかった」)に応じ、量を調整。アレルギー対応は特に重要で、2025年ではアレルギー管理システム(デジタルチェックリスト)を導入する園も増えています。
例: 2歳児が「朝ごはんを食べていない」と言われた場合、少し多めのおやつを提供し、栄養バランスを考慮。
外遊び
時間例: 9:30~10:30(乳児10~30分、幼児~1時間30分、気温で調整)
天候が良ければ毎日外遊びを実施。雨天時は室内遊びやテラスを利用し、レインコートでの活動も。保育士の主な役割は見守りで、子どもたちの社会性やルール意識を育む。
- 乳児クラス: かけっこやまねっこ遊びを保育士が提案。安全確保のため、常に近くで見守る。
- 幼児クラス: うんていやのぼり棒などダイナミックな遊びが増える。落下リスクに備え、声かけや受け止め準備。
- 安全管理: 2025年では、転倒防止マットの導入や遊具の安全点検が強化されている園も多い。
例: 3歳児が友達とケンカした際、保育士は介入せず、子ども同士で解決する様子を見守り、必要なら仲裁。
室内遊び
時間例: 10:30~11:30
月齢に合った玩具を提供。乳児には大きいピースのパズルや絵本、幼児には手先を使うブロックや簡単な工作を用意。玩具選びでは、発達促進や学びの効果を考慮し、十分な数を確保。
例: 4歳児クラスで「色分けブロック」を使い、色や形の認識を促す。遊びに行き詰まった子には「このブロックで塔を作ってみよう」と提案。
給食
時間例: 11:00(乳児)~12:00(幼児)
乳児は午睡時間を確保するため、幼児より早く給食を開始。アレルギー対応食を正確に配膳し、子どもの食欲や食事マナーを観察。量の調整や食べる順番の指導も行う。
例: アレルギー対応食は専用トレイで提供し、誤配膳を防ぐ。食が細い子には少量から提供し、完食を促す。
午睡
時間例: 12:00~14:00(乳児)、12:30~14:30(幼児)
子どもが寝ている間も保育士は休めません。乳児のうつぶせ寝による窒息リスクを防ぐため、定期的に巡回。眠れない子には寝かしつけを行う。午睡中に保育士は以下の業務を行う:
- 連絡帳記入: 子どもの様子や特記事項を記録。
- 情報共有: 同僚と変わった様子の子(例: 元気がない、食欲低下)を話し合い、原因を検討。
- 休憩: 交代制で15~30分の休憩を取る園もあるが、人手不足で休憩が取れない場合も。
例: 午睡中に2歳児が泣き出した場合、そっと背中をさすり、落ち着かせる。
午後のおやつ
時間例: 14:30~15:00
午睡後におやつを提供。アレルギー対応や量の調整を再度確認。寝ぐせや衣服の乱れを整え、次の活動に備える。
例: 牛乳アレルギーの子に代替の豆乳を提供し、誤配を防ぐためダブルチェック。
外遊びと降園
時間例: 15:00~18:00
降園前の外遊びを実施。保護者が迎えに来たら、その日の子どもの様子(例: 「今日、〇君は砂遊びで山を作りました」)や気になる点(例: 「少し咳が出ていました」)を伝える。保護者からの相談(例: 発達の遅れ、家庭の悩み)はこの時間帯に多い。
- 対応例: 保護者から「子どもの言葉が遅い」と相談された場合、園での様子を伝え、必要なら専門機関を紹介する日程を提案。
- 遅番対応: 遅くまで残る子には寂しさを感じさせないよう、積極的に声かけや遊びを提供。
日誌書きと掃除
時間例: 18:00~19:00(閉園まで)
子どもが降園後、日誌(日案・週案・月案)を記入し、翌日の保育目標を立てる。保育室の掃除(床拭き、遊具消毒)、おむつやトイレットペーパーの補充、洗濯も行う。行事前は装飾や練習準備も。
例: 運動会前は、プログラム確認や保護者向け案内作成を優先。
典型的な1日のスケジュール表
以下は、認可保育園(定員100名程度)をモデルにした保育士の1日のスケジュール例です。
乳児(0~2歳)と幼児(3~5歳)の違い、主要な業務、想定されるイレギュラー対応を記載しています。施設や地域により異なるため、参考例としてご覧ください。
時間 | 乳児(0~2歳) | 幼児(3~5歳) | 保育士の主な業務 | イレギュラー対応例 |
|---|---|---|---|---|
7:00~7:30 | – | – | 開園準備(鍵開け、教室チェック、消毒、システム起動) | 早番保育士の遅刻時、代わりに管理職が対応 |
7:30~9:00 | 登園、検温、健康チェック | 登園、健康チェック | 保護者対応、連絡事項確認、怪我・体調記録 | 発熱児の早期発見、隔離と保護者連絡 |
9:00~9:30 | 朝のおやつ | 自由遊び(室内) | おやつ配膳(アレルギー確認)、見守り | アレルギー誤配防止のダブルチェック |
9:30~10:30 | 外遊び(10~30分) | 外遊び(~1時間) | 見守り、遊びの提案(乳児)、安全管理 | 転倒時の応急処置、保護者への報告 |
10:30~11:30 | 室内遊び | 室内遊び | 玩具準備、見守り、発達観察 | けんか仲裁、保護者への相談準備 |
11:00~12:00 | 給食 | – | 配膳(アレルギー対応)、食事指導 | 食欲低下児の観察、記録 |
12:00~12:30 | 午睡準備 | 給食 | 午睡準備、配膳、食事指導 | 嘔吐時の迅速な清掃・対応 |
12:30~14:00 | 午睡 | 午睡(~14:30) | 巡回(窒息防止)、連絡帳記入、情報共有、休憩(交代制) | 眠れない子の寝かしつけ |
14:30~15:00 | 午後のおやつ | 午後のおやつ | おやつ配膳、寝ぐせ・衣服整え | アレルギー対応の再確認 |
15:00~18:00 | 外遊び、降園 | 外遊び、降園 | 見守り、保護者対応(様子報告、相談)、遅番児のケア | 保護者遅延時の子どもの情緒ケア |
18:00~19:00 | – | – | 日誌・指導計画作成、掃除、行事準備 | 残業での保護者対応(電話相談) |
備考:
- 休憩: 園の人員配置により、午睡中に15~30分の交代制休憩が可能な場合と、休憩なしの場合がある。
- 行事時: 運動会前は15:00~15:30に練習を追加し、18:00以降に装飾準備が増える。
- 施設別: 幼稚園では14:00降園が基本、企業内保育所では17:00~18:00が降園ピーク。
イレギュラー対応と非常時の業務
保育士の1日には、急な体調不良や事故対応も含まれます。
- 例: 発熱した子を隔離し、保護者に連絡。怪我の場合は応急処置後、事故報告書を作成。
- 対応のポイント: 優先順位を決め(例: 安全確保→保護者連絡→記録)、冷静に対応。2025年では、緊急連絡をデジタルシステムで効率化する園も増えています。
行事や季節ごとのスケジュール変動
1. 年間行事の影響
年間行事(例: 運動会、発表会、遠足、卒園式)は、保育士のスケジュールに大きな影響を与えます。これらの行事は準備期間(数週間~数ヶ月前)から当日にかけて、通常業務に加えて特別なタスクが発生します。
運動会(例: 10月)
準備期間(2~3ヶ月前):
- スケジュール変動: 午睡後の15:00~15:30にダンスやリレーの練習時間を追加。外遊びの時間を短縮し、練習に充てる場合も。
- 業務内容: プログラム作成、保護者向け案内文の作成(デジタル連絡帳や紙で配布)、衣装や道具の準備、会場設営の計画。乳児クラスは簡単な体操や親子競技、幼児クラスはリレーやダンスなど動きが複雑になる。
- 例: 4歳児クラスで「バルーン演技」を練習。保育士は音楽の選定、振り付け指導、保護者への衣装依頼を担当。
- 注意点: 子どもの体力や集中力に配慮し、練習時間を短く区切る。保護者からの「練習量が多い」などのクレームに対応するため、事前に説明会を開催(例: デジタル会議ツールで実施)。
当日:
- スケジュール変動: 通常の給食・午睡を簡略化し、9:00~12:00に運動会を実施。降園は14:00頃で、保護者対応が増える。
- 業務内容: 会場設営(テントや椅子)、子どもの誘導、競技進行、写真撮影(保護者向け公開用)、怪我の応急処置準備。2025年では、ライブ配信や録画を活用し、来場できない保護者に配信する園も。
- 例: 乳児は保護者と一緒の「親子競技」、幼児は「玉入れ」を実施。保育士は競技のルール説明や安全管理を担当。
- 注意点: 熱中症対策(水分補給、テント下での休憩)、保護者の撮影ルール(プライバシー保護)を徹底。
発表会(例: 12月)
準備期間(2ヶ月前):
- スケジュール変動: 室内遊びの時間(10:30~11:30)に劇や歌の練習を追加。乳児は簡単な歌や手遊び、幼児は劇のセリフや楽器演奏を練習。
- 業務内容: 脚本作成、衣装・舞台装飾の準備、保護者への案内(例: デジタル連絡帳で日程共有)。保育士間で役割分担(例: 演出担当、衣装担当)を明確化。
- 例: 5歳児クラスで「桃太郎」の劇を練習。保育士はセリフ指導や舞台背景の制作を手伝う。
- 注意点: 子どものストレス管理(練習過多で疲れないよう調整)、保護者からの「役の配分」に関する相談に対応。
当日:
- スケジュール変動: 午前中にリハーサル、13:00~15:00に本番。給食は軽食に変更、午睡は短縮またはなし。
- 業務内容: 会場準備、子どものメイクや衣装着替え、保護者席の案内、進行管理。2025年では、発表会の様子を録画し、保護者向けクラウド共有を行う園も増加。
- 例: 2歳児が「手遊び歌」を披露。保育士は舞台袖で子どもを落ち着かせ、保護者に笑顔で対応。
- 注意点: 緊張する子へのフォロー(例: 抱っこで安心させる)、保護者とのトラブル防止(例: 撮影時のフラッシュ禁止を事前案内)。
遠足(例: 春・秋)
準備期間(1ヶ月前):
- スケジュール変動: 通常スケジュールを維持しつつ、降園後の18:00~19:00に遠足の計画会議や準備を追加。
- 業務内容: 行き先選定(例: 公園、動物園)、バス手配、持ち物リスト作成、保護者向け説明資料の配布。乳児は近場の公園、幼児は動物園や博物館など遠出の場合も。
- 例: 3歳児クラスで公園遠足を計画。保育士は緊急連絡網や救急キットの準備を行う。
注意点: アレルギー対応のお弁当確認、保護者からの「安全確保」に関する質問に対応。
当日:
- スケジュール変動: 8:00出発、15:00帰園。給食・午睡はなし、弁当持参。
- 業務内容: 子どもの点呼、安全管理、活動の引率、写真撮影。2025年では、GPSアプリで子どもの位置を管理する園も。
- 例: 動物園遠足で、子どもたちが動物を観察。保育士はグループごとに引率し、迷子防止の名札チェック。
- 注意点: 迷子や怪我のリスク管理、保護者へのリアルタイム連絡(例: デジタル連絡帳で遅延情報を共有)。
2. 季節ごとのイベントとスケジュール変動
季節イベント(例: 夏の水遊び、冬の節分、春のお花見)は、子どもたちに季節感を伝え、発達を促す機会です。これらは通常スケジュールに組み込まれ、短期間で集中的に準備します。
夏:水遊び(例: 7~8月)
- スケジュール変動: 外遊び(9:30~10:30)を水遊びに変更。乳児は15~20分、幼児は30~40分で、着替え時間を追加(例: 10:30~11:00)。暑さ対策で午後の外遊びを室内遊びに変更する場合も。
- 業務内容: プールや水遊び場の準備(水質チェック、滑り止めマット設置)、水着やタオルの確認、保護者への持ち物案内。2025年では、衛生管理強化により、水遊び後の消毒が徹底。
- 例: 2歳児クラスでスプリンクラー遊び。保育士は水のかけ合いを誘導し、転倒に注意。
注意点: 熱中症予防(水分補給、帽子着用)、水遊び後の体温管理(濡れたまま冷えないよう即着替え)。
冬:節分(例: 2月)
- スケジュール変動: 室内遊び(10:30~11:30)に豆まきや鬼のお面制作を追加。外遊びは寒さで短縮(例: 20~30分)。
- 業務内容: お面や豆入れの制作、豆まき用のスペース準備、保護者向け写真共有の準備。乳児は簡単な手遊び、幼児は鬼役の保育士と豆まき。
- 例: 4歳児が鬼のお面を制作。保育士はハサミの安全指導と装飾サポート。
- 注意点: 豆のアレルギー確認、投げる力の強い幼児の安全管理。
春:お花見やピクニック(例: 4月)
- スケジュール変動: 外遊びを公園でのお花見に変更(9:30~11:00)。弁当持参で給食なし。
- 業務内容: 公園の下見、シートや遊び道具の準備、保護者への案内。乳児は短時間の散歩、幼児は自然観察や簡単なゲーム。
- 例: 5歳児が桜の下でスケッチ。保育士は観察ポイントを説明し、ゴミ持ち帰りを指導。
- 注意点: 花粉症の子への配慮(マスク着用)、迷子防止のグループ管理。
3. イレギュラー対応と行事・季節イベント
行事や季節イベントでは、通常以上にイレギュラー対応が増えます。
- 例: 運動会中に子どもの発熱→隔離室で休ませ、保護者に連絡。遠足でバス遅延→保護者にデジタル連絡帳で遅れを通知。
- 対応のポイント: 事前に緊急連絡網や救急キットを準備。2025年では、デジタルツール(例: 保護者向けアプリ)でリアルタイム連絡を強化。
4. 保護者対応の増加
行事や季節イベントは保護者参加の機会が多く、相談やクレームが増えます。
- 例: 運動会で「我が子の出番が少ない」とのクレーム→事前に役割配分の説明を行い、録画共有で納得感を高める。
- 対応のポイント: 行事前に保護者説明会(オンライン可)を開催し、期待値を調整。2025年では、デジタル連絡帳で質問受付を効率化。
5. スケジュール表への影響
時間 | 運動会準備期間(例: 9月) | 水遊び期間(例: 7月) |
|---|---|---|
9:30~10:30 | ダンス練習(外遊び短縮) | 水遊び(15~40分) |
10:30~11:30 | 室内遊び+衣装試着 | 着替え+室内遊び |
15:00~15:30 | リレー練習 | 室内遊び(外遊び短縮) |
18:00~19:00 | 装飾・案内作成 | プール清掃・消毒 |
施設形態による違い
保育園、幼稚園、企業内保育所、小規模保育園ではスケジュールや業務が異なります。
- 認可保育園: 7:00~19:00の長時間保育、乳児~幼児対応。
- 幼稚園: 9:00~14:00の短時間保育が多く、預かり保育で延長。
- 企業内保育所: 少人数で柔軟なスケジュール、残業少なめの場合も。
- 小規模保育園: 保育士が調理や清掃まで兼務する場合が多い。
例: 企業内保育所では、保護者が社員のため相談時間が短く、デジタル連絡帳で効率化。
保育士の1日は大変だけどやりがいのある仕事!
保育士の1日は多忙で、書類業務や保護者対応、緊急時の判断など責任が重い仕事です。しかし、子どもたちの笑顔や成長、保護者の信頼を得る瞬間は大きなやりがいにつながります。
2025年の保育環境では、ICTツールや衛生管理の強化により業務効率化が進む一方、子ども一人ひとりに寄り添う姿勢は変わりません。
保育士を目指す方は、上記のスケジュール表を参考に、やりがいと挑戦の両方を理解してください!
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