複数担任制の保育現場で、「パートナーと合わない」「毎日顔を合わせるのが苦痛」と悩んでいませんか?
人間関係のストレスは保育の質にも影響し、放っておくと心身を壊す原因にもなります。
この記事では、保育園における嫌いな保育士との接し方やストレスを減らす具体的メソッド、限界を感じた時の対処法を詳しく解説します。
なぜ複数担任制は人間関係のトラブルが起きやすいのか
保育士の仕事において、複数担任制はスタンダードな働き方ですが、実は非常に人間関係のトラブルが起きやすい構造を持っています。
まずは、なぜこれほどまでに「合わない」と感じる相手との仕事が辛いのか、その根本的な理由を整理してみましょう。
保育観という正解のない価値観の衝突
保育士は一人ひとりが、これまで受けてきた教育や経験に基づいた「保育観」を持っています。
「子どもにはこう接するべき」「今は見守るべき」「ここは厳しくしつけるべき」といった考え方は、どれも間違いではありません。
しかし、ペアを組む相手とこの価値観が根本から異なると、毎日が否定の連続になってしまいます。
・一人は「子どもの主体性を尊重して自由にさせたい」
・もう一人は「集団行動のルールをしっかり教え込みたい」
このようなズレがある中で、目の前の子どもにどう声をかけるか瞬時の判断が求められる現場では、お互いのやり方に不満が募りやすくなります。
「なぜあの先生はあんな言い方をするの?」「私のやり方を邪魔されている気がする」といった疑念が、いつしか相手を「嫌い」という感情に変えてしまうのです。
保育観は個人のプライドや専門性にも深く関わっているため、譲歩が難しく、対立が深刻化しやすい傾向にあります。
密室かつ逃げ場のない長時間労働
保育室という空間は、ある種の「密室」です。一日の大半を同じメンバーで、子どもの安全を守るという緊張感の中で過ごさなければなりません。
一般的なオフィスワークであれば、苦手な人がいてもデスクが離れていたり、会議の時だけ顔を合わせれば済んだりすることもありますが、保育士はそうはいきません。
・常に相手の動きが視界に入る
・休憩時間も重なり、プライベートな話もしなければならない空気がある
・常に連携が必要で、物理的な距離を置くことが不可能
このような環境では、相手の些細なクセや言動、表情のひとつひとつが気になり始め、ストレスが雪だるま式に膨らんでいきます。
心理学的にも、狭い空間で特定の相手と長時間過ごすことは、相手の欠点を過剰に意識させる要因になると言われています。
業務負担の不均衡と不公平感
複数担任制では、仕事の分担が曖昧になりがちです。
特に「気づける保育士」と「気づかない保育士」がペアになると、一方に過度な負担がかかります。
・自分ばかりが掃除や事務作業をしている
・相手は子どもと遊んでばかりで、汚物の処理や片付けを避けている
・保護者対応の難しい場面を自分に押し付けてくる
こうした業務上の不公平感は、相手に対する尊敬の念を失わせる決定打となります。
「自分だけが頑張っている」という被害者意識が強まると、相手が何をしても腹が立つようになり、協力関係を築く意欲が削がれてしまいます。
また、経験年数の差がある場合、ベテランが若手に雑用を押し付ける、あるいは若手がベテランの指示を待つばかりで動かないといった構図も、ストレスの大きな原因です。
嫌いなパートナーと組むことで生じる心身へのリスク
「仕事だから我慢しなければならない」と無理を続けることは非常に危険です。
合わない相手とのストレスを放置し続けることで、どのようなリスクが生じるのかを客観的に知っておきましょう。
精神的な摩耗と体調不良
人間関係のストレスは、目に見えない形で着実に心身を蝕みます。
以下のような症状が出ている場合は、すでに限界を超え始めているサインかもしれません。
・出勤前になると動悸がする、お腹が痛くなる
・夜、寝ようとしても仕事での嫌なやり取りが頭を離れず眠れない
・プライベートで何をしていても楽しくなく、常にイライラしてしまう
・食事の味がしなくなる、あるいは過食気味になる
これらは適応障害やうつ病の初期症状であることも多く、無理を重ねると長期的な休職や離職を余儀なくされることになります。
「たかが人間関係」と片付けず、自分の体が発しているアラートに耳を傾けることが大切です。
保育の質の低下と事故のリスク
担任同士の仲が悪いことは、保育現場において致命的な欠陥となります。
連携が取れていないクラスでは、子どもの安全を守ることが難しくなるからです。
・相手と話したくないために、重要な情報の共有を怠ってしまう
・お互いの動きを予測できず、死角ができやすくなる
・殺伐とした雰囲気が子どもに伝わり、子どもたちが不安定になる
・指示が二転三転し、子どもたちが混乱する
最悪の場合、担任同士の不仲が原因で重大な怪我や事故に繋がり、その責任を問われることにもなりかねません。
子どもの命を預かるプロとして、人間関係の悪化は「業務上のリスク」そのものであると認識すべきです。
保護者からの信頼失墜
保護者は、担任同士の空気感を驚くほど鋭く察知します。
連絡帳の書き方がバラバラだったり、送迎時の対応に一貫性がなかったりすると、「この先生たちは連携が取れていないな」とすぐにバレてしまいます。
一度「信頼できない担任」というレッテルを貼られてしまうと、些細なミスでも大きなクレームに発展しやすくなります。
不仲なパートナーを守る余裕がないため、クレームが発生した際にお互いに責任をなすりつけ合うような醜態を晒してしまえば、保育士としてのキャリアにも傷がつきます。
嫌いな保育士との関係を楽にするマインドセット
相手の性格や行動を直接変えることはほぼ不可能です。
しかし、自分自身の受け止め方や考え方(マインドセット)を変えることで、受けるダメージを大幅に軽減することはできます。
相手を「同僚」ではなく「業務上の装置」と捉える
ストレスが溜まるのは、相手に「普通はこうするはず」「もっとこうしてほしい」という人間的な期待を持っているからです。
その期待を思い切って捨ててみましょう。
・相手を人格を持った人間ではなく、特定の役割を果たすための「装置」や「システム」だと考える
・感情的なつながりを求めず、必要な機能(報告や補助)さえ果たしていれば良しとする
・相手の性格を分析するのをやめ、予測不能な動きをする「自然現象」のようなものと割り切る
冷たく感じるかもしれませんが、心理的な距離を置くためには有効な手段です。
「あの人はああいう仕様なんだ」と割り切ることで、いちいち腹を立てるエネルギーを節約できます。
仕事とプライベートの境界線を明確にする
保育園を一歩出たら、仕事のことは完全に忘れるトレーニングをしましょう。
嫌いな人のことを家で思い出して腹を立てるのは、自分の貴重なプライベートの時間を相手に奪われているのと同じです。
・退勤後の「マインドフルネス」や趣味の時間を確保し、思考を強制的に切り替える
・SNSなどで相手のアカウントを見ない、繋がらない(ミュートやブロックも検討)
・仕事用の服を脱ぐ、あるいはシャワーを浴びることを「浄化の儀式」として意識する
相手を嫌うことに時間を使うのをやめ、自分を癒すことに全力を注ぎましょう。
あなたの人生において、その同僚はエキストラに過ぎないということを忘れないでください。
「反面教師」として利用する
嫌いな相手の言動を、自分の成長のための教材にしてしまいましょう。
客観的に相手を観察することで、感情的な怒りが「分析的な興味」に変わります。
・「あんな言い方をすると人は不快になるんだな。自分は気をつけよう」
・「あの対応は子どものためになっていないな。自分ならこうしよう」
・「なぜあの人はあんな風になってしまったのか?過去の経験からだろうか?」
このように一段高い視点(メタ認知)から相手を見ることで、同じ土俵に立たずに済みます。
嫌いな相手のおかげで自分の保育スキルやコミュニケーション能力が磨かれている、と考えることができれば、少しだけ気持ちが楽になります。
具体的なコミュニケーションと行動の改善術
心の持ちようを整えたら、次は具体的な行動に移しましょう。
少しの工夫で、現場のギスギスした空気を緩和し、自分の身を守ることができます。
徹底して「事務的・丁寧」な報連相を行う
感情が合わない相手だからこそ、コミュニケーションは「質」ではなく「量」と「型」で勝負します。
友達のような会話は一切不要ですが、業務連絡は過剰なほど丁寧に行いましょう。
・「〇〇先生、今よろしいですか?」「ありがとうございます」「助かります」といったクッション言葉を必ず使う
・曖昧な表現を避け、5W1Hを意識した正確な情報共有を心がける
・相手が忘れていそうなことは、「以前お伝えした件ですが、確認のためもう一度…」と、相手のプライドを傷つけない形でリマインドする
事務的に徹することで、相手に「攻撃する隙」を与えません。
また、第三者が見た時に「あなたは完璧に仕事をこなしている」という印象を与えることができ、自分の立場を守ることにも繋がります。
「I(アイ)メッセージ」で要望を伝える
相手の動きを改めてほしい時、「あなたはなぜ〜してくれないの?」という伝え方(Youメッセージ)をすると、相手は責められたと感じて反発します。
これを「私」を主語にした伝え方に変えてみましょう。
・「(あなたは)もっと早く掃除してください」→「(私は)10時までには掃除が終わっていると、その後の活動準備がスムーズにできるので助かります」
・「(あなたは)勝手に指示を出さないで」→「(私は)方針がズレると不安なので、事前に相談してもらえると嬉しいです」
主語を自分に変えるだけで、命令ではなく「お願い」や「相談」の形になり、相手の抵抗感を下げることができます。
相手を変えるためではなく、自分が仕事をしやすくするための技術として活用してください。
感謝と褒め言葉を「戦略的」に使う
嫌いな相手を褒めるのは苦痛かもしれませんが、これは相手をコントロールするための「高度な戦術」です。
人は自分を認めてくれる相手に対して、攻撃的になりにくいという性質(返報性の原理)があります。
・「さっきの〇〇ちゃんへの声かけ、すごく響いていましたね」
・「準備してくださって助かりました。ありがとうございます」
・「さすが〇〇先生ですね。勉強になります」
本心でなくても構いません。相手の自己承認欲求を満たしてあげることで、相手の機嫌を安定させ、自分への攻撃を逸らすことができます。
「餌をあげて大人しくさせている」くらいの感覚で、戦略的にプラスの言葉を投じてみましょう。
役割分担を「可視化」して共有する
「言わなくてもわかってほしい」という期待がストレスを生みます。
可能であれば、毎日の役割分担を明確に言語化、あるいは表にして掲示しましょう。
・リーダーとサブの動きを時間単位で決める
・事務作業、清掃、環境構成などの担当を週替わりで割り振る
・連絡帳の記入担当や保護者対応の優先順位を明確にする
「誰が何をやるか」が決まっていれば、相手が動かないことにイライラする必要がなくなります。
もし相手が自分の役割を放棄したとしても、ルールとして決まっていれば管理職に相談する際の明確な証拠になります。
自分を守るための「証拠」と「相談」の進め方
努力しても状況が改善されない場合、一人で抱え込むのは危険です。
組織として対応してもらうための準備を始めましょう。
業務日誌とは別に「個人ログ」をつける
もし相手から嫌がらせを受けたり、不適切な保育を目撃したりした場合は、詳細な記録を残しておきましょう。
これは自分を守るための強力な武器になります。
・日時、場所、関わった子ども、具体的な言動
・それに対して自分がどう対応し、相手がどう反応したか
・周囲にいた職員や、その後の仕事への支障
「なんとなく嫌い」という感情論では園は動きませんが、「〇月〇日にこのような実害があった」という具体的な事実の積み重ねがあれば、配置換えや指導の根拠になります。
スマホのメモ帳や個人のノートに、感情を交えず淡々と事実を記録してください。
信頼できる主任・園長への相談
相談する際は、タイミングと伝え方が重要です。
ただの愚痴にならないよう、以下のポイントを意識してください。
・「保育の質」と「子どもの安全」を相談の軸にする
・「あの人が嫌い」ではなく、「現状の連携不足により、子どもに〇〇のようなリスクが生じている」と伝える
・自分がこれまでどのような改善努力(報連相の徹底など)をしてきたかを併せて伝える
・「どうにかしてください」と丸投げせず、「役割分担を明確にする場を作ってほしい」など具体的な解決策を提案する
まともな管理職であれば、現場の不和が事故に直結することを理解しています。
組織の問題として提起することで、客観的な視点からの介入が期待できます。
どうしても限界を感じた時の最終手段
世の中には、残念ながら努力や工夫ではどうにもならない相手も存在します。
また、園全体の体質として、特定の人間の横暴を許している場合もあります。
そんな時は、自分の心身を守るための「撤退」を視野に入れましょう。
「年度途中だから」と自分を縛らない
保育士の責任感の強さゆえに、「今辞めたら子どもたちや同僚に迷惑がかかる」と無理をしてしまう人が多いです。
しかし、あなたが倒れてしまっては元も子もありません。
・精神的な限界を感じているなら、診断書をもらって休職する
・どうしても今のパートナーと組めないことを伝え、年度途中での異動を願い出る
・「自分がいなくても保育園は回る」と良い意味で開き直る
あなたの代わりは他にいますが、あなたの人生の代わりはいません。
まずは自分を最優先に考える勇気を持ってください。
転職を前向きに検討する
人間関係の悩みは、環境を変えることで一気に解決することがほとんどです。
「今の園でうまくやれない自分はダメだ」と責める必要はありません。単に、その園の文化やその相手と「相性が悪かった」だけなのです。
・小規模保育園など、少人数でアットホームな環境を探す
・逆に大規模園で、人間関係が流動的な職場を選ぶ
・担任を持たないフリー保育士や派遣保育士として、自分に合ったスタイルで働く
現在は保育士不足の状況にあり、より良い労働環境を求めて転職することは全く珍しくありません。
今の苦しみを我慢し続けるのではなく、自分の良さを活かせる場所を探すことにエネルギーを使ってみませんか。
辞める前に「次」の準備を少しずつ始める
いきなり辞めるのが不安な場合は、まずは情報収集から始めてみましょう。
他の園の求人を見たり、転職エージェントに登録したりするだけでも、「いざとなったら他がある」という心の余裕に繋がります。
・自分の希望条件(給与、勤務地、人間関係の評判など)を整理する
・現在の園の何が不満だったのかを言語化し、次の職場選びの基準にする
・履歴書や職務経歴書を少しずつアップデートしておく
行動を起こすことで、現状に支配されていた感覚から抜け出し、自分の人生の主導権を取り戻すことができます。
まとめ
複数担任制での人間関係に悩むのは、あなたがプロとして真剣に仕事に向き合っている証拠でもあります。
合わない相手との毎日は地獄のように感じるかもしれませんが、コミュニケーションの技術やマインドセットの切り替えで、受けるストレスをコントロールすることは可能です。
それでも、心や体が悲鳴を上げているのであれば、それは「その場所はあなたに合っていない」というサインかもしれません。
保育士としての誇りを持ち続けるためにも、自分を擦り減らすだけの環境に固執せず、広い視野を持ってこれからのキャリアを考えていきましょう。
あなたが心から笑顔で、子どもたちと向き合える日が来ることを願っています。まずは今日一日、自分を労うことから始めてくださいね。
次の一歩として、まずは今の不満や相手の気になる言動を、誰にも見せないノートにすべて書き出してみることから始めてみませんか?
感情を外に出すだけでも、驚くほど心が軽くなるはずですよ。










