保育士として子どもたちと過ごす毎日は、笑顔や成長の瞬間でいっぱいですよね。でも、ときには子どもたちの小さな変化やSOSに気づくことが、私たちの大切な役割になります。
その中でも、家庭内暴力(DV)は特にデリケートで、対応を間違えると子どもや保護者、そして自分自身にも影響が出てしまう難しい問題です。
このブログでは、保育士がDVの兆候に気づき、適切に対応するために知っておきたいことを、実際の事例や日本の支援制度を交えてお伝えします。少し長くなりますが、現場で役立つヒントをたっぷりお届けします!
DVって何? 子どもにどんな影響があるの?
DV、つまりドメスティック・バイオレンスは、夫婦やパートナー間で行われる暴力のこと。身体的な暴力だけでなく、暴言や無視といった精神的暴力、性暴力、経済的な締め付けなども含まれます。
日本では2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)ができて、被害者を守る仕組みが整えられています。
でも、DVは家庭の中で起きる問題だから、外からは見えにくいんですよね。特に子どもたちは、直接被害を受けていなくても、親の暴力を目撃することで深い傷を負うことがあります。
たとえば、DVを目の当たりにした子どもは、いつもビクビクして落ち着かなかったり、友達に攻撃的になったりすることがあります。
言葉や社会性の発達が遅れることもあるし、ひどい場合は心的外傷後ストレス障害(PTSD)のような心の傷を抱えることも。
子どもって、大人が思う以上に敏感で、家庭の空気をしっかり感じ取るんです。保育士としては、こうした影響を頭に入れて、子どもの小さな変化を見逃さないようにしたいですね。
DVの背景には、お金の悩みやストレス、アルコール依存など、いろんな要因が絡み合っています。だから、「DVがある家庭=悪い親」と決めつけるのは危険。複雑な事情があることを理解して、偏見を持たずに接することが大切です。
子どものSOSに気づく:どんなサインを見逃さない?
保育士の私たちは、子どもたちと毎日一緒に過ごすからこそ、ちょっとした変化に気づける特等席にいるんです。DVの兆候は、子どもが直接「家で暴力があるよ」と言うことはほとんどなくて、行動や表情、身体の状態に現れることが多いんです。
たとえば、いつも元気だった子が急に大人しくなったり、逆に友達を叩くようになったりしたら要注意。大きな音や急な動きにビクッと反応したり、保護者が迎えに来ると怖がったりする子もいます。
中には、年齢に合わない性的な言葉や行動を見せる子もいて、これは性的DVの可能性を示すサインかもしれません。
身体的には、原因がよくわからないあざや傷、服が汚れていたり、いつもお腹を空かせているような状態も気になります。保護者の様子もヒントになりますよ。
子どもの怪我について毎回違う説明をしたり、保育士の質問にピリピリしたりする場合は、ちょっと立ち止まって考える必要があります。
でも、こうしたサインって、DVだけじゃなくて、発達障害や他のストレスが原因のこともあるから、ひとつのサインだけで「これはDVだ!」と決めつけるのは危険。
日々の観察を積み重ねて、複数の変化を総合的に見ていくのがポイントです。
実例:5歳のさくらちゃんの場合
さくらちゃんは、普段はおしゃべりで友達とよく遊ぶ子。でも、最近は友達を叩くことが増えて、昼寝中に「お父さんが怖い」と泣きながらつぶやくようになりました。右腕に青紫色のあざがあって、お母さんに聞くと「遊具でぶつけた」と言うけど、さくらちゃんは「家で叩かれた」とポロッと話してきました。
このケースでは、攻撃的な行動、悪夢、あざ、子どもの発言が、DVの可能性を示しています。こんなとき、保育士はどう動けばいいのでしょうか?
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DVが疑われたらどうする? 保育士の対応ステップ
さくらちゃんのようなケースに直面したら、まず深呼吸して冷静になることが大切。DV対応は急ぐ必要があるけど、慌てて動くと逆効果になることもあります。保育士としてできること、すべきことを順番に見ていきましょう。
まずは丁寧に観察して記録する
子どもの変化に気づいたら、まずその様子を具体的に記録します。
たとえば、「2025年7月30日、昼寝中に泣きながら『お父さんが怖い』と言った」「右腕に2cmの青紫色のあざ」と、いつ、どこで、どんな状況だったかを詳しく書きます。
保護者との会話も、「お母さんが『遊具でぶつけた』と説明」と記録。これ、めっちゃ大事なんです! あとで関係機関と連携するとき、この記録が子どもの安全を守る証拠になります。記録は園のルールに従って、個人情報としてしっかり管理してくださいね。
子どもの話をじっくり聞く
もし子どもがDVを思わせることを話してきたら、落ち着いて耳を傾けましょう。
「何があったの?」「どうしたの?」と、誘導しない質問で話を聞くのがコツ。子どもを責めたり、保護者を悪く言うのはNGです。
「話してくれてありがとう」「ここは安全だよ」と伝えて、安心感を与えるのが大事。子どもの話は正確に記録して、園長や同僚と共有します。
でも、「誰にも言わないよ」と約束するのは避けてください。後で専門機関に報告する必要があるとき、子どもとの信頼関係がややこしくなることがあります。
関係機関に繋ぐ
DVや虐待が疑われる場合、保育士が一人で解決しようとするのは危険です。速やかに専門機関に相談しましょう。
日本では、児童福祉法に基づいて、子どもに虐待の疑いがある場合、児童相談所に通告する義務があります。
全国共通の「189(いちはやく)」に電話すれば、24時間対応で相談に乗ってくれます。
もし保護者がDV被害者なら、自治体のDV相談窓口(たとえば、東京都なら「東京都女性相談センター」03-5261-3911)に繋ぐのも有効。
緊急で子どもの命が危ないと感じたら、迷わず110番してください。
大事なのは、関係機関に伝えるときは「こう思う」じゃなくて、「こう見えた」「こう言われた」といった事実だけを話すこと。保護者に「DVを疑ってます」と直接言うのは絶対ダメ! 加害者が逆上して、子どもや被害者に危害が及ぶリスクがあります。
保育士の役割を忘れない
保育士の仕事は、子どもの安全を守り、専門機関に繋ぐことまで。
保護者に「暴力をやめて」と直接言ったり、個人的に保護者を家に泊めたりするのは、トラブルに巻き込まれる元です。保育士はヒーローじゃないし、専門家でもない。自分の役割をしっかり理解して、無理しないでくださいね。
実例:4歳のたかし君の場合
たかし君は最近、友達を叩くようになり、保護者の迎え時に「お母さんを叩かないで」と叫びました。保育士はたかし君の話を聞いて、園長に相談。児童相談所に通告した結果、家庭訪問で父親から母親へのDVが確認され、母親は自治体のDVシェルターに保護されました。たかし君は一時保護施設で安全を確保。このケースでは、保育士の冷静な対応が、子どもと母親の命を守りました。
倫理的な葛藤:どうバランスを取る?
DV対応って、倫理的に「うーん、どうすればいいんだろう?」と悩むことが多いんですよね。いくつかよくあるジレンマを見てみましょう。
まず、保護者のプライバシーと子どもの安全のバランス。DVは家庭の問題だから、保護者のプライバシーを尊重したい気持ちはあります。でも、子どもの安全が危ない場合、児童福祉法に基づく通告義務が優先。「もう少し様子を見よう」と先延ばしにすると、子どもに危害が及ぶかもしれないから、迷ったらすぐ相談が鉄則です。
次に、中立でいること。
DVの背景には、加害者や被害者の複雑な事情があります。
たとえば、DV被害者の親が「子どもの世話をしない」と見えても、実はDVのストレスで心がボロボロなのかもしれません。保育士は、どちらかを批判したり、擁護したりせず、子どもの安全だけにフォーカスしましょう。
それから、家庭の文化的背景にも気をつけたいところ。たとえば、特定の文化では「体罰」が普通とされることもあります。でも、子どもの安全が脅かされているなら、自分の価値観や文化の違いは一旦置いて、客観的に判断することが大切です。
自分を守ることも忘れずに
DV対応は、保育士にとって心も体も重い仕事。子どもや保護者の辛い状況に直面すると、ストレスや無力感でいっぱいになることもあります。だからこそ、自分を守るための心構えが大事なんです。
まず、DVの疑いがあるときは、絶対に一人で抱え込まないで。園長や同僚と情報を共有して、チームで対応しましょう。複数の目で状況を見れば、判断ミスも減るし、精神的な負担も軽くなります。
それから、メンタルヘルスのケアも忘れずに。信頼できる人に話したり、プライベートでリフレッシュする時間を作ったり。もし心がしんどくなったら、カウンセリングを受けるのもおすすめです。子どもを守るためには、まず自分が元気でいることが大事ですから。
あと、法律や制度の知識をしっかり持つことも自分を守る武器になります。児童福祉法やDV防止法、虐待防止の研修は、自治体や保育士向けの団体が開催しているので、積極的に参加してみてください。知識があれば、自信を持って対応できますよ。
保護者との信頼関係を大切に
DV対応では、保護者との関係を壊さない工夫も大事。特に、保護者がDV被害者なら、保育士が信頼できる存在だと感じてくれれば、支援を受け入れやすくなります。
たとえば、保護者の子育てを批判せず、「子どものことが心配なので、ちょっとお話ししたいんですが」と穏やかに切り出す。いきなり「DVシェルターに行きましょう」と言うより、「何か困ったことがあれば、いつでも話してくださいね」と信頼を築くことから始めましょう。
DV相談窓口のチラシをさりげなく渡したり、自治体の支援制度を軽く紹介するのもいい方法。保護者が自分で「助けが必要」と思えるように、そっと背中を押してあげてください。
最後に:子どもたちの未来のために
保育士の私たちは、DVの専門家じゃない。でも、子どもたちの安全を守るために、できることはたくさんあります。子どもの変化に気づき、冷静に観察し、必要なら専門機関に繋ぐ。それだけで、子どもや家庭の未来が変わることがあるんです。
DV対応は簡単じゃないし、ときには心が重くなることもあります。でも、子どもたちの笑顔や小さな成長を見ると、「この仕事、やっててよかった」って思えますよね。日々の保育の中で、子ども一人ひとりに寄り添いながら、信頼の絆を築いていく。それが、DVから子どもを守る第一歩になるんです。
**参考情報**
- 厚生労働省「児童虐待防止対策」
- 全国共通児童相談所虐待対応ダイヤル「189」
- 内閣府「DV相談窓口」
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